- 労災で、会社が責任を問われるケースとは?
- 労災の報告を怠るとどうなるのか?
- 労災が起こったとき、企業としてはどう対処すればよいか?
「労災事故」が発生したら、会社側には適切な対応を求められます。被災者(被害者)から損害賠償請求される可能性もあります。会社で労災事故が発生したら、お早めに加藤労務法律事務所までご相談ください(ご相談は、こちら(お問い合わせのページ)まで)。
このページの目次
労災事例の種類と報告義務
労災(労働災害)とは、業務に起因して労働者に怪我、病気、障害や死亡といった結果が発生することです。
業務中に労災が発生するケース(業務災害)のみならず、通勤中に労災が発生する事例(通勤災害)もあります。また、過労死や過労自殺も労災となります。
業務災害が起こった場合、雇用者は労基署に報告しなければなりません。この報告を怠ると、企業には50万円以下の罰金刑が適用されます(労働安全衛生法97条、100条、120条、122条)。
また労災が発生したら、企業は労働者に対して労災保険による補償を受けさせる必要があります。
労災で企業に責任が発生する事例
労災が起こった場合、労災保険からの補償(労災保険給付)だけでは足りず、不足分を企業が支払わなければならないケースもあります(最近は、このようなケースが非常に増えています。)。
具体的には、企業に「安全配慮義務違反」があった場合には、被災した労働者に対する損害賠償責任を負います。企業は、労働者との労働契約に基づき、労働者に対し、安全な職場環境を提供すべき義務を負っています(これを「安全配慮義務」といいます。)。このような職場環境を整えることなく、労働者を危険な仕事に従事させ、その結果、事故が発生した場合、企業には「安全配慮義務違反」があったとして、被災労働者に対する損害賠償責任が発生します。
たとえば、「企業が安全装置の設置を怠っていた場合」や「劣悪な作業環境での作業を余儀なくさせていた場合」のほか、「長時間労働や過重労働を漫然と放置していた場合」も安全配慮義務違反があったと判断される可能性が高いので、ご注意ください。
なお、安全配慮義務違反による損害賠償責任が発生する場合、企業は、被災労働者に対し、休業損害(休業に対する補償)、慰謝料(精神的苦痛に対する補償)、逸失利益(後遺障害が残存した場合の補償)など、様々な損害を賠償しなければならず、その賠償額は高額となります。
特に、死亡事故などの重大事故の場合には、数千万円単位の賠償額となり、会社経営を揺るがしかねません。このため、予防法務の観点からは、労災の上乗せ保険に加入することをお勧めします(労災上乗せ保険加入のすすめ【会社向け】)。
労災事故が起こった場合の適切な対処方法
労災事故が起こったら、まずは労働基準監督署に「死傷病報告」を行ってください。また、労働者による労災保険の申請に協力してください。労災隠しをする会社がありますが、これは違法であり、絶対にダメです。
被災労働者から損害賠償請求を受けた場合、会社側に安全配慮義務違反があったかを慎重に検討する必要があります。また、会社の責任を否定できない場合であっても、事故状況によっては被災労働者の過失を主張することが可能なケースもあります(この場合、「過失相殺」を主張して、賠償額の減額を目指します。)。
弁護士にご相談いただけましたら、事故状況を精査して、企業に賠償責任が発生する事案であるか否かを検討します。そして、賠償責任が発生する場合には適正額を精査した上で、被災労働者と示談交渉いたします。
加藤労務法律事務所は、損害保険会社の顧問弁護士として、交通事故・労災事故などの損害賠償請求事件の取扱件数が非常に多く、これらの事件で培ったスキル・ノウハウを駆使して労災問題の適正な解決を目指します!
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