いったん定めた労働条件を不利益に変更するには、労働者との合意が必要です。ただし合意がない場合でも一定の要件を満たせば不利益変更が認められる可能性があります。
1.労働条件の不利益変更とは
労働者と会社(雇用主)との間には労働契約が締結されています。労働契約の中で労働条件について定められているため、契約締結後に雇用主の一方的な意思によって労働条件を変更することは認められません。
労働者に不利な労働条件の変更を「不利益変更」といいますが、たとえば以下のような条件変更が「不利益変更」に該当します。
- 賃金のカット
- 退職金の減額
- 労働時間の延長
- 福利厚生制度の廃止
- 手当の廃止
2.不利益変更する3つの方法
ただし、以下のような場合には労働条件の不利益変更も認められます。
2-1.個別合意
労働条件を不利益に変更される労働者との間で個別に合意ができれば、その労働者については変更が認められます。
2-2.包括的合意
個別の合意を取れなくても、過半数の労働者を代表する労働組合と労働協約を締結することによって労働条件を変更できます。労働組合と合意すれば、その労働組合に加入している労働者に不利益変更の効果を及ぼすことが可能です。
2-3.就業規則による変更
労働者との合意ができなくても、就業規則の変更に「合理性」が認められれば労働条件を変更できます(労働契約法9条、10条)。その際、以下の要素が考慮されます。
- 労働者の受ける不利益の程度
- 労働条件の変更の必要性
- 変更後の就業規則の内容の相当性
- 労働組合等との交渉の状況
- その他の事情
労働条件変更の必要性が高く、他方で、労働条件を変更しても労働者の受ける不利益が小さい場合、その旨を労働者(労働組合)に説明し、協議を重ねてきたケースであれば、相当な範囲の労働条件切下げが認められる可能性があります。また、ケースによっては代償措置や経過措置を講ずることも有益です。
3.労働条件の変更に関するご相談・お問い合わせ
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労働条件を変更する際は、微妙な判断が要求されるため、専門知識を持った弁護士が関与して、慎重に進める必要があります。労働条件の不利益変更をご検討の企業様は、加藤労務法律事務所までご相談ください。