退職勧奨の面談準備(想定問答)【会社向け】

問題社員の退職勧奨を行う際、「何を聞かれるか」、「どのように答えるか」、「どのように言えばいいのか」など、面談前に想定問答集を準備しておくことは非常に大切です。
当日のやりとりを全て事前に準備しておくことは不可能ですが、ある程度のところを準備しておくことは可能です。今回は、退職勧奨を行うにあたり、面談前に準備しておくべきポイントや退職勧奨の切り出し方について、説明します。

退職勧奨の事前準備でお困りの企業様は、加藤労務法律事務所までご相談ください(法律相談料は、1時間あたり33,000円(消費税を含む)です。)。
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1 想定問答集の準備

部下・従業員に対する退職勧奨を行うことは、ご担当者様(上司や人事担当者など)にとってもストレスの大きい業務です。あらかじめ想定問答集を作成して協議に臨むことができれば、ご担当者様の精神的負担を軽減させることができます。

退職勧奨の場合には、以下の点が話題になることが多いといえます。そこで、これらの点について、想定問答を準備しておくとよいでしょう。

① どのような会話から始めるのか。

② どのように退職の話を切りだすのか。

③ 本人から「クビですか?」と言われた場合の回答

④ 「辞めたくない」と言われた場合の回答

⑤ 退職金、有給消化、雇用保険、健康保険に関する回答

これらの点について、想定問答を一言一句準備することはできません。「こんな感じのことを聞かれたら、こう答えよう」程度の準備で十分です。

また、対象者から、想定外の質問や回答が出てくることも予想されます。もし、そのような質問や回答が出た場合で、その場で対応できないものについては、「宿題」として持ち帰り、いったん交渉を終えることも重要です。想定外の質問に対し、回答をはぐらかしたり、無理に押し切ろうとしたりすると、対象者は不信感を抱き、トラブルに発展する危険があります。

2 退職勧奨の切り出し方

会社が退職勧奨を行うのは、その従業員が問題行動を行ったことが理由と考えられます(しかも、会社が退職勧奨を行うくらいですから、問題行動を繰り返していると思われます。)。

そこで、「本人の問題行動→会社による注意指導→問題行動が改善しなかったこと」を具体的に説明できるよう準備してください。そして、問題行動に関する対象者の自覚や反省、今後、同種行為に及ばないよう、どのような点に注意するかを聴取してください。その際は、問題行動に関する対象者の考えをしっかりと聞くことがポイントです。

対象者の考えを聞いたものの、「今後、気を付けます」といった程度の回答しか返ってこない場合もあります。
しかし、問題行動を起こしている以上、このような回答では不十分です。「今後、どのような点に気を付けるのか」、「そのために、今からどのような対応・対策をとるのか」等、具体的な再発予防に向けた考えを聞いてください。
再発予防策について具体的な回答を求めることは、他の社員に対する安全配慮義務や企業秩序維持(円滑な業務遂行)のためにも必要です(例えば、パワハラのケースなど)。

上記の質問に対し、本人が話をそらそうとする、本人から十分な回答を得ることができない場合には、本人は自らの問題行動を自覚していないと思われます。会社が退職勧奨を検討するケースは、多くの場合、対象者が過去にも同種行為を行っていると考えられるため、再び問題行動を起こす可能性は非常に高いと考えられます。

しかし、仮に、問題行動を繰り返した場合、職場内の人間関係がギクシャクする等、対象者にとっても働きにくい状況になることが予想される。そうであれば、ここで退職することも選択肢の一つではないかと提案するのが自然な流れといえます。

また、本人が「問題行動を起こしたことを他の従業員のせいにすること」も想定されます。

このような場合には、複数の従業員(上司)が本人に対応したものの、いずれも同じ結論(人間関係のトラブル等の問題が発生したこと)になっている事実、他の従業員はそのようなトラブルが起こっていないことを淡々と説明することが考えられます。

これらの説明を通じて、その会社で働き続けることは、今後も職場内での人間関係のトラブルが生じる可能性があることが浮かび上がります。そして、そのような状況で働き続けることは対象者にとっても本意ではないと思われ、そうであれば、会社を退職し、別の会社で働くことも選択肢の一つではないかと提案することになると考えられます。

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