夜勤の仮眠時間を「休み」として扱い、給料の計算に入れていない介護施設は少なくありません。しかし、その扱いが後になって問題になることがあります。夜勤明けの職員から「仮眠中もずっと気が抜けなかった。その分の給料を払ってほしい」と言われたとき、施設はどのように対応すべきでしょうか。今回は、仮眠時間が給料の対象となるかどうかの分かれ目を、お話しします。
この記事のポイント
- 夜勤の仮眠時間は、呼ばれたら対応するルールがあれば、労働時間となる可能性が高い。
- 仮眠を休みとして扱うには、仮眠中の対応役を別に置き、呼び出さない体制が必要
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夜勤の仮眠時間は給料の対象? 寝ていても「仕事中」のことがある
仮眠時間が休憩時間といえるかどうかは、職員が実際に眠れたかでは決まりません。大切なのは、その時間、職員が仕事から完全に離れてよい状態(労働から解放された状態)にあったかどうかです。
たとえば、ナースコールが鳴ったらすぐに起きて対応するよう決められている場合を考えてみてください。職員は布団に入っていても、いつ呼ばれるか分からない状態で待っています。これは、休んでいる時間ではなく、「待機時間」であり、法律上は労働時間(=給料が発生する時間)に当たると考えられます。裁判所も、仮眠時間であっても、何かあれば対応しなければならない状態に置かれていれば、その時間は労働時間に当たるという考え方を示しています。
夜中に一度も呼ばれなかった日でも、「呼ばれたら動く」決まりがある以上、給料の対象になり得るという点に注意が必要です。呼出しがなかった結果、職員が寝ることができたとしても、その時間は労働時間であり、給料が発生することになります。
仮眠時間が問題になりやすい夜勤体制のチェックリスト
次のような体制になっていないか、一度確かめてみてください。
- 夜勤者が一人だけで、仮眠中も呼出しがあれば対応することになっている。
- 仮眠室に呼出しの受信機や施設の携帯電話を持ち込むことが義務付けられている。
- 仮眠の時間帯が決まっておらず、手の空いたときに休むことになっている。
いずれかに該当する場合、仮眠時間が給料の対象と判断されるおそれがあります。
仮眠時間の扱いを放っておくと、どれくらいの金額になる?
仮眠時間の扱いが問題になると、影響は一晩分では済みません。夜勤が月8回、仮眠が1回2時間の場合、それだけで月16時間分となります。過去の分は、さかのぼって支払いを求められることがあります(現在の法律では、過去3年分の請求が可能です。)。さらに、夜の時間帯の仕事には通常より高い給料(割増賃金)を払う必要があります。
また、1人の職員が声を上げると、同じ夜勤をしていたほかの職員も続いて支払いを求めてくることも珍しくありません。気付いたときには、施設が支払うべき給料(追加払い分)は、相当な金額になっていることがあるのです。
仮眠時間が労働時間と判断されないための夜勤体制
仮眠時間に給料を発生させないためには、仮眠時間中は職員が労働から解放させていることが必要ですそのためには、介護施設において、次のような仕組みを整えておくことが必要です。
- 仮眠中の対応役を決める:仮眠を取る職員とは別に、その時間に起きて対応する職員を置きます。交代で仮眠を取る形にすれば、仮眠中の職員を呼び出す必要がなくなります。
- 仮眠の時間帯をはっきり決める:「何時から何時までは誰が休み、その間は誰が起きているか」を、名前と時刻で勤務表に書き込んでおきます。
- 呼ばれたときは記録する:やむを得ず仮眠中の職員に業務を行わせた場合には、その時間を記録し、給料の対象時間としてカウントします。
仕組みを作ったら、職員への説明も忘れないでください。「仮眠中は呼び出さないので、しっかり休んでください」と伝えてください。また、「制度を整えたものの、運用できていなかった」ということは、実務上、よくみられます。そこで、制度がきちんと運用されているか、日頃から管理者が確かめておくことが大切です。
夜勤者を2人以上置けない小さな事業所(介護施設)では、仮眠時間も業務時間として扱い、給料に含めておいた方が安全な場合もあります。どのような体制を整えるかは、職員数と人件費のバランスをみながら決めることになります。
まとめ
仮眠時間が給料の対象時間となるかは、「呼ばれたら対応しなければならないルールがあるか」で大きく変わります。夜勤体制において、仮眠者が労働から解放される状態を整えておくことは、トラブルを防ぐだけでなく、職員の体を守り、辞めずに働き続けてもらうことにもつながります。
介護施設の夜勤体制に不安があるときは、早めに専門家に相談し、今のうちに仕組みを整えておくことをお勧めします。

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