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退職勧奨の面談準備(想定問答)【会社向け】

2021-11-02

問題社員の退職勧奨を行う際、面談前に想定問答集を準備しておくことは非常に大切です。「何を聞かれるか」、「どのように答えるか」、当日のやりとりを全て事前に準備しておくことは不可能ですが、ある程度のところを準備しておくことは可能です。今回は、退職勧奨を行うにあたり、面談前に準備しておくべきポイントや退職勧奨の切り出し方について、説明します。

1 想定問答集の準備

部下・従業員に対する退職勧奨を行うことは、ご担当者様(上司や人事担当者など)にとってもストレスの大きい業務です。あらかじめ想定問答集を作成して協議に臨むことができれば、ご担当者様の精神的負担を軽減させることができます。

退職勧奨の場合には、以下の点が話題になることが多いといえます。そこで、これらの点について、想定問答を準備しておくとよいでしょう。

① どのような会話から始めるのか。

② どのように退職の話を切りだすのか。

③ 本人から「クビですか?」と言われた場合の回答

④ 「辞めたくない」と言われた場合の回答

⑤ 退職金、有給消化、雇用保険、健康保険に関する回答

これらの点について、想定問答を一言一句準備することはできません。「こんな感じのことを聞かれたら、こう答えよう」程度の準備で十分です。

また、対象者から、想定外の質問や回答が出てくることも予想されます。もし、そのような質問や回答が出た場合で、その場で対応できないものについては、「宿題」として持ち帰り、いったん交渉を終えることも重要です。

2 退職勧奨の切り出し方

会社が退職勧奨を行うのは、その従業員が問題行動を行ったことが理由と考えられます(しかも、会社が退職勧奨を行うくらいですから、問題行動を繰り返していると思われます。)。

そこで、まずは、問題行動に関する対象者の自覚や反省、今後、同種行為に及ばないよう、どのような点に注意するかを聴取してください。その際は、問題行動に関する対象者の考えをしっかりと聞くことがポイントです。

対象者の考えを聞いたものの、「今後、気を付けます」といった程度の回答しか返ってこない場合もあります。

しかし、問題行動を起こしている以上、このような回答では不十分です。「今後、どのような点に気を付けるのか」、「そのために、今からどのような対応・対策をとるのか」等、具体的な再発予防に向けた考えを聞いてください。

再発予防策について具体的な回答を求めることは、他の社員に対する安全配慮義務や企業秩序維持(円滑な業務遂行)のためにも必要です(例えば、パワハラのケースなど)。

上記の質問に対し、本人から十分な回答を得ることができない場合には、本人は自らの問題行動を自覚していないと思われます。しかも、会社が退職勧奨を検討するケースでは、対象者は、過去にも同種行為を行っていると考えられるため、再び問題行動を起こす可能性は非常に高いと考えられます。

しかし、仮に、問題行動を繰り返した場合、職場内の人間関係がギクシャクする等、対象者にとっても働きにくい状況になることが予想される。そうであれば、ここで退職することも選択肢の一つではないかと提案するのが自然な流れといえます。

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2021-10-05

今回は、上司らの退職勧奨が違法であり、不法行為と判断された裁判例を紹介します(宇都宮地裁令和2.10.21)。退職勧奨を行う際には、参考にしてください。

1 事案の概要

バスの乗務員(運転手)である原告が、上司である被告らから退職強要や人格否定等のパワーハラスメントを受けたとして、慰謝料を請求したケースです。

原告は、乗客に対する接客態度に問題があったとして(←複数回あったようです。)、複数の上司から長時間(約1時間)にわたり退職するよう繰り返し迫られ、その後、「うつ状態」となりました。

2 裁判の判断

裁判所は、原告が辞めたくないと述べたにもかかわらず、3日間にわたり、複数の上司らが原告に対し、次のような発言に及んだことは、退職勧奨として許される限度を逸脱したものであり、不法行為が成立すると判断しました(なお、違法な退職勧奨のほか、パワハラもあったとして、慰謝料は60万円と認定されました。)。

① 「もう二度とバスには乗せない。」

  「もう終わりです。」

→ 運転業務がない中で、バスに二度と乗せない旨を表明したこと

② 「その辺のチンピラがやることだよ。チンピラはいらねんだようちは。」

 「雑魚はいらねえんだよ。」

 「まあもう会社ではいらないんです。」

→ 会社には要らない旨を繰り返し告げたこと

③ 「うちの会社には向かねえよこんな会社って、見切りをつけて他の会社行けよ。」

  「どっかへ行けよ。それを言ってんだよ。」

→ 他の会社へ行けと言ったこと

④ 「一身上の都合で円満にあれしたほうがよろしいんじゃないかと。」

  「円満のがいいでしょ?だってその方が、今度ね他へ就職するにしても」

→ 自主退職すべきことをほのめかしたこと

⑤ 「じゃあ、書けよ・・・。書けよ。」

  「退職願を」

→ 退職願を書けと命じたこと

3 本件の特徴

「もう二度とバスには乗せない。」、「チンピラはいらねんだよ。」、「どっかへ行けよ。」、「(退職願を)書けよ。」など、上司らの発言は、原告に退職を促す、あるいは、退職するよう説得するものではなく、退職を強要する内容といわざるを得ません。しかも、本件では、3日間という短期間に、複数の上司が原告一人に対し、上述した発言を繰り返していた点が特徴的です。

また、判決では、上司らの発言が細かく認定されています。これは、原告が発言内容を録音し、それを証拠提出されたことが理由と考えます。

4 まとめ

本件では、原告の接客態度に問題がありました。しかも、過去に同様の問題があったようです。だから、上司らは、原告にはバスを運転させられないと考えて、退職勧奨に及んだと考えます。

もっとも、原告の接客態度は問題があったものの、解雇相当といえるほどの重大なものではなく、そもそも退職を強く勧めることはできないケースであったと考えます。

このようなケースでは、まず、問題行動について懲戒処分(戒告・減給・出勤停止など)を検討します(無理に退職させようとしない。)。そして、その過程で、本人に接客態度に問題があることを自覚させます。そのうえで、退職勧奨する場合には、バス乗務員は接客が不可欠であるため、接客態度が改まらないのであれば、バス乗務員は向いていないのではないか、といった趣旨の発言にとどめるべきであったといえます。

これに対し、本件は、「退職勧奨」といいながら、「どうしても退職させよう」とした結果、言い過ぎてしまい、不法行為と認定されてしまいました。このようなケースは、たまに見られるケースなので、ご注意ください。

なお、本件では、原告が上司らの発言を録音していました。退職勧奨の場面では、このように従業員が担当者の発言を録音しているケースは非常に多くあります。このため、退職勧奨を行う場合には、「従業員に録音されていること」を前提に発言・対応してください。

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2021-09-21

退職勧奨を行うにあたり、対象者(部下・従業員)から「違法な退職勧奨」と主張されることがあります。そこで、今回は、どのような退職勧奨が違法と考えられるかをご説明します。

1 解雇事由がないのに、解雇すると言うこと

解雇事由がないことを認識しながら、退職勧奨に応じなければ解雇すると言うことは、部下・従業員をだまして退職させようとするものであり、違法と考えられます。

仮に、このような退職勧奨の結果、部下・従業員が退職した場合には、後日、退職の意思表示が錯誤であった、会社の虚偽説明によって退職の意思表示に及んだとの理由で、退職は無効であると主張される可能性が高いといえます。

解雇事由がないにもかかわらず、不用意に解雇する等の発言は行わないようにしてください。

2 人格否定・名誉棄損的発言や恫喝的な対応

「あなたみたいなダメ人間はいりません。早く辞めてください。」、「レベルが低すぎるので、退職したらどうですか。」など、部下・従業員の人格を否定するような発言は行ったらダメです。また、大声で怒鳴ったり、机を叩きながら退職するよう求めるなど、退職勧奨の際、恫喝するような対応に及ぶこともダメです。

これらの行為は、もはや説得行為とはいえません。このようなやり方での退職勧奨も違法と判断されると考えます。なお、このような行為に及んだ場合には、後日、部下・従業員から、退職勧奨の際に精神的苦痛を受けたとして慰謝料請求を受ける可能性も高くなります。

3 長時間にわたる退職勧奨

長時間の退職勧奨も、後日、「長時間にわたって退職を執拗に求められた」と主張される可能性があります。違法と判断されるか否かは、時間や頻度にもよりますが、このような主張を受けないようにするには、1回あたりの面談時間は1時間(長くても2時間程度)とすべきです。

なお、退職勧奨の際には、会社側が一方的に話すのではなく、部下・従業員の話を聞きながら進めてください。部下・従業員の話を聞きながら進めた結果、1回あたりの面談が2時間になったとしても、長時間とはいえないと考えます。

交渉が長時間となりそうな場合や膠着状態に陥った場合には、双方で検討・準備すべき事項を確認し、次回の面談を設定することもご検討ください。

4 連日にわたる退職勧奨

あと少しで合意できそうであれば、前回の面談日から近接した時期に面談日を設定することも考えられます。しかし、そうでない場合に連日にわたって面談を繰り返すことは、「連日にわたり、退職を執拗に求められた」として、違法と主張される可能性があります。

5 多数で面談に臨むこと

会社担当者が多数で面談に臨んだ場合、違法とまではいわないものの、後日、部下・従業員から「大勢に囲まれて、退職することを余儀なくされた」と主張される可能性があります。

なお、1対1の場合、「言った・言わない」の水掛け論に陥る危険があること、その他の事態に備えて、会社担当者は2名程度とするのがよいといえます。

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2021-09-20

退職勧奨を行うにあたり、事前準備が必要とわかっているものの、具体的に、どのような準備をすれば分からない担当者の皆様は多いと思います。また、部下・従業員に退職を勧める面談についても、実際に、どのように進めてよいか分からない方は多いのではないでしょうか。

今回は、退職勧奨を進めるにあたり、準備すべき事項、面談時の注意点について説明します。

1 退職勧奨する前に押さえておくべきポイント

退職勧奨とは?(解雇との違い)

そもそも退職勧奨とは何でしょうか?
解雇とは,何が違うのでしょうか?
退職勧奨を考える前に、「退職勧奨」と「解雇」との違いを押さえておく必要があります。

まず、解雇とは、会社が従業員に対し、労働契約の終了を一方的に通告する行為です。いわゆる「クビ」というものです。
これに対し、退職勧奨とは、対象者の自主退職を促す行為であり、退職するか否かは従業員が決めることになります。したがって、退職勧奨の対象者(部下・従業員)が退職に応じない場合には、会社は、対象者の退職を強制することはできません(この場合、対象者に解雇事由がある場合には、解雇するかを検討することになります。)。

退職勧奨を行うにあたっては、このような「解雇」と「退職勧奨」の違いをしっかりとご理解ください。「退職勧奨」と言いながら、実際は、「解雇」のような対応を行っている会社も多いので、ご注意ください。

従業員への退職勧奨を検討する場合とは

会社が従業員の退職勧奨を考えるのは、次の場合が多いかと考えます。

① 対象者が問題行動を起こしたとき(パワハラなど)

② 対象者がローパフォーマーであるとき

いずれの場合も、「問題社員」であると判断したからこそ、会社はその従業員への退職勧奨を決意したと考えられます。逆に言えば、「その従業員の問題行動がなくなれば、退職してもらう必要はなくなる」ことを意味します。

したがって、退職勧奨を検討するにあたっては、その前に、注意指導等によって問題行動が解消されないかを検討してください(退職勧奨の進め方(退職勧奨する理由の整理)【会社向け】)。

退職勧奨は、問題のある部下・従業員との間で、問題行動の防止・解消について話し合ったものの、それができない(=「問題行動の防止・解消ができない」)と判断した場合に切り出すことになります。

退職勧奨を検討する際に「忘れてならない視点」

退職勧奨が失敗する多くのケースは、「対象者に辞めてもらう」という結論ありきの対応に終始した結果、無理な退職勧奨を行ってしまう場合です。しかし、そもそも「退職勧奨」とは、従業員の問題行動の防止・解消について話し合ったものの、改善・解決の見込みがない場合に、「最後の手段」として提案するものです。これは、「退職勧奨するか」を検討するにあたり、「忘れてはならない視点」です。そして、いったん退職勧奨すると決めて、事前準備や面談を際も、常に念頭に置いてください。

2 面談に先立ち、具体的に準備すべきこと

退職勧奨に先立ち、事前に準備すべきこと

退職勧奨の話を切り出して、「はい、わかりました。」と即答する人はほとんどいません。反発されるでしょうし、いろいろな質問が出てくると思います。

このため、退職勧奨を進めるにあたっては、あらかじめ想定問答を準備しておく必要があります。特に、退職勧奨は日常的に生じる業務ではないため、実際に退職勧奨を行う担当者の皆様も、退職勧奨のやり方が分からず、対象者の態度や質問に戸惑ってしまうと思います。そこで、事前準備をしっかりと行う必要があります。

具体的に準備しておくべき想定問答

退職勧奨を進めるにあたり、以下の点については、必ず準備しておいてください(これらは、退職勧奨する際に、対象者からよく質問される事項です。)。

① 会社が本人に退職を勧める理由(退職勧奨する理由)

ここでは、「本人の問題行動→会社による注意指導→本人が改善しなかったこと」という一連の事実経緯を説明することになります。そして、このような出来事が繰り返され、改善の見込みがないため、退職勧奨するに至った旨を説明することになります。ここでは、一連の事実経過(客観的事実)を淡々と説明することが重要です。

② 退職金、有給消化、雇用保険、健康保険に関する回答

これらについては、いざ退職するとなると、従業員が気にするポイントです。これらについては、質問が出てくる前提でしっかりと回答準備をしておいてください

③ ほかに準備しておくべき想定問答

そのほかにも、どのような話・タイミングで退職の話を持ち出すかについても、あらかじめ準備しておくとよいでしょう。また、対象者から、「クビですか?」といった質問や「退職する気はありません」等の反応が出てくることも予想されます。

特に、対象者が退職に応じない場合の対案については、あらかじめ検討・準備しておく必要があります(退職勧奨の切り出し方(想定問答)【会社向け】)。

3 面談時の注意点(問題行動に関する本人の考えを聴取すること)

面談時の注意点(本人の話を聞くこと)

退職勧奨するのは、対象者である部下・従業員に問題行動があり、しかも、同種行為を繰り返している場合が多いと思われます。

対象者が引き続き会社で働くことを希望する場合には、今後、二度と同種行為に及ぶことがないよう、問題行動に関する本人の自覚や反省について、しっかりと聴取する必要があります(このとき、誓約書を取り付けることもポイントです。)。

ここで注意していただきたいのは、「今後、気を付けます」という抽象的な回答ではなく、問題行動について真剣に考えてもらい、再発防止に向けた考えについて、本人にきちんと説明を求めることです。このような対応は、他の社員に対する安全配慮義務や企業秩序維持の観点からも必要です。

このような会社の問いかけに対し、対象者が不誠実な対応(回答)に終始している場合に、退職勧奨を行うことになります。

このような流れで退職勧奨を持ち出すことは、会社側の対応として不当とはいえません。

面談時の注意点(2名程度で対応すること)

退職勧奨する際には、できる限り複数(2名程度)で対応するのがよいと言えます。1対1の場合、冷静な話し合いができなくなる可能性があります。また、1対多数の場合には、後日、「複数人に囲まれて退職すると言わざるを得ない状況に追い込まれた」と言われてします可能性があります。

そこで、会社側の担当者は、2名程度で対応するのがよいと考えます。

4 まとめ

退職勧奨を進める上で、会社側は、「問題行動を起こした社員に対し、再発防止についての具体的な見解を聞く。そこで、しっかりとした考え・回答が出てこない場合には、退職勧奨を行う。」というスタンスで臨むのがよいといえます。

また、面談の際には、会社の考えを一方的に告げるのではなく、まずは対象者(部下・従業員)の考えをじっくりと聞いてください。

① 対象者の意見・回答を聞き、必要に応じて会社の考えを伝える。

② 対象者の意見・回答では問題解決とならない場合に、退職勧奨を切り出す。

このような流れで進めることが、円滑な面談を実現するコツです。

退職勧奨の事前準備でお困りの企業様は、加藤労務法律事務所までご相談ください。

 → お問い合わせは、こちらまで(お問い合わせ画面に移動します)

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2021-09-20

部下・従業員に対する退職勧奨の進め方について、ご説明します。今回は、退職勧奨を進めるにあたり、「退職勧奨する理由を整理すること」の重要性について、ご説明します。

退職勧奨する理由を整理すること

どうして部下・従業員に対する退職勧奨を行うのか(退職勧奨しなければならないのか)、その理由を整理してください。

退職勧奨は、対象者の人生を変えてしまいかねないものです。このため、会社側は退職勧奨には慎重であるべきです。また、退職勧奨を行う場合には、当然、対象者から理由を聞かれます。回答しても反論される可能性があります。ここで曖昧な対応に終始すると、対象者を説得することなど不可能です。

問題行動の特定・証明

退職勧奨しようと考える部下・従業員は、何らかの問題行動を起こしているはずです。その「問題行動」が何であるかを明らかにしてください。そして、その「問題行動」が客観的証拠によって証明できるかを確認してください。

会社が問題行動を理由に退職勧奨を行おうとする場合には、対象者から問題行動の存在を否定されることがあります(パワハラ的言動の場合は、本人に自覚がないこともあって、問題行動を指摘しても否定される場合が多いといえます。)。そのような場合に備えて、証拠を収集・準備する必要があります。

退職勧奨を行う必要があるか

問題行動が特定・証明できた場合には、退職勧奨が唯一の方法であるかを検討してください。退職勧奨の目的は、職場秩序の維持・回復です。もし、そのほかの方法によって職場秩序の維持・回復ができるのであれば、そちらの方法を検討してください。

例えば、パワハラ的な言動で周囲に迷惑をかける従業員の場合、まずは対象者に言動を改めるよう注意指導することが必要です。それでも改まらない場合には、異動等の措置によって問題解決できないかを検討してください。ちなみに、パワハラ的言動の場合、詳細を調べてみると、部内の特定従業員と不仲であることが原因である場合があります。そのようなケースでは、問題社員を異動すること解決できる場合もあります。

これに対し、パワハラ的言動により、これまで異動を繰り返してきた場合で、次の受入先がない場合には、退職勧奨を検討することになります。

まとめ

退職勧奨を行う場合には、その理由をしっかりと整理してください。実際に、退職勧奨を行う場合には、対象者から反論や質問が出てくるケースが大半です。

退職勧奨の理由を整理するというのは、これらに対する会社側の言い分を整理することにほかなりません。これらが不十分な場合には、退職勧奨を行うことにはリスクがあります(「不当な退職勧奨」と主張されるリスク)。逆に、退職勧奨を行う理由がしっかりとしていれば、対象者から「不当な退職勧奨」と主張される可能性は低くなり、あとは「対象者を説得できるか」の問題になります。

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2021-09-19

退職勧奨の結果、部下・従業員が退職する場合には、対象者から退職届を受領してもらってください。これを怠ると、後日、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまいます。

退職届とは

退職届とは、従業員が会社に対し、退職する旨を届け出ることです。退職届は、本人による署名捺印した書面です。これを会社へ提出することで、対象者は、会社を退職する旨の確定的な意思表示を明らかにしたと評価されます。

退職届が提出されない場合

退職届が提出されない場合、後日、退職したはずの部下・従業員から、「会社に解雇された」と訴えられる危険があります。会社としては、たとえ口頭であっても、本人が退職する旨を明らかにした以上、このような訴えは不当だと考えると思います。

しかし、このようなケースでは、会社側が「本人が退職したこと」を証明しなければなりません。そして、裁判で争われた場合には、退職届が存在しない以上、「本人が退職した」のか「会社が解雇した」のかわからないとして、「部下・従業員が退職した」という会社の言い分が認めてもらえないことになります。

実際に、退職届をもらっていなかったため、後日、本人から解雇されたと主張されてしまい、会社は訴訟で争ったものの、結果的に多額の解決金の支払いを余儀なくされたケースもあります。

このような紛争を回避するためにも、退職勧奨の結果、部下・従業員が退職する旨の意思表示を明らかにした場合には、本人から退職届を受領してください。

退職届は必ず受領すること

実際の裁判では、退職届がないケースでも、退職前後のやりとり(メールや健康保険証の返還など)から「本人が自主退職したこと」の立証を試みることになります。しかし、裁判所は書面を重視する機関であるため、このような立証が上手くいかない可能性は高いというのが現実です。

不本意な争いに巻き込まれないようにするためにも、退職勧奨の結果、部下・従業員が退職する旨の意思表示を明らかにした場合には、必ず退職届を受領してください。

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2021-09-18

退職勧奨は、やり方によっては「パワハラ」と訴えられる可能性があります。そこで、今回は、退職勧奨が「パワハラ」と言われないようにするための注意点についてご説明します。

1 パワハラとは

まず、「パワハラ」とは何であるかを押さえる必要があります。

パワハラとは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であり、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものをいいます。具体的には、「身体的な攻撃(暴行・障害)」、「精神的な攻撃(脅迫・暴言等)」、「人間関係からの引き離し(隔離・無視)」などをいいます。

このため、退職勧奨の話を切り出したとしても、それだけで「パワハラ」となるわけではありません。

2 退職勧奨で問題となる場合

もっとも、やり方によっては、退職勧奨が「パワハラ」となってしまう危険があります。パワハラと評価されうる退職勧奨としては、次のものが考えられます。

① 退職勧奨に応じるまで部屋から出さない。

② 長時間にわたって執拗に退職勧奨を繰り返す。

③ 退職勧奨の際、「あなたのような給料泥棒は、会社を辞めてもらうしかありません。」、「あなたが会社にいることは、会社にとって損失でしかありません。」など、精神的な攻撃を繰り返す。

④ 退職勧奨に応じない部下・従業員を他の従業員から隔離する。仕事を与えない。

極端な例と思うかもしれませんが、実際の現場では、つい熱が入ってしまい、やり過ぎてしまう危険があります。ご注意ください。

このような対応の結果、部下・従業員が退職したとしても、後日、「会社側の違法な言動で退職を余儀なくされた。」として訴えられてしまう可能性があります。この場合、「職場復帰」が認められるのみならず、「退職してから職場復帰するまでの賃金」、「慰謝料」の支払義務が発生してしまいます。さらに、違法な退職勧奨によって精神疾患に罹患したとして、さらなる損害賠償が請求される危険があります。 

3 まとめ

退職勧奨がパワハラとなりうる場合をご説明しました。

退職勧奨を行う場合には、対象者(部下・従業員)を傷つけるような言葉(攻撃的な言葉)を発しても、対象者は態度を硬化させるだけです。

退職は、部下・従業員が自ら決断することです。「この会社での仕事は、自分に合っているのだろうか。」、「このまま会社に残ることは、自分のキャリアにとってプラスになるだろうか。」、「今の職場の人間関係に耐えられるだろうか。」など、退職を考える人は、「自分」を起点に物事を考えます。

このため、対象者の心に響く説得を行いたいのであれば、会社側の都合を述べるのではなく、まずは対象者の立場・気持ちになって説得の言葉を考えることが必要です。また、会社と対象者がミスマッチと判断したのであれば、そのような判断を裏付ける資料(客観的資料。これまでの問題行動に関する業務指導書など)を示しながら、対象者に説明することが必要です。

このような姿勢で臨むことが、退職勧奨を「パワハラ」と言わせないための一番のポイントです。

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2021-09-16

「問題社員に辞めて欲しい」、「解雇しようと思っている」など、部下・従業員の解雇・退職問題にお困りの会社は多いと思います。そこで、今回は、「退職勧奨」についてご説明します。

1 退職勧奨とは

退職勧奨は、解雇ではありません。従業員の自発的な退職を促す行為です。従業員に「自発的に辞めてもらう」ことがポイントです。そこで、「自発的に辞めてもらう」ため、どのような働きかけを行うかが重要です。

2 問題がある退職勧奨の方法

退職勧奨で問題となる例としては、次のようなものがあります。

① 解雇事由がないにもかかわらず、「辞めないと解雇する」と言う。

② 連日、長時間にわたって執拗に退職を求める。

これらは、いずれも「従業員の自発的な退職を促す行為」とはいえません。「退職の強要」であり、裁判所で争われた場合、違法と判断される可能性が非常に高いといえます。

なお、違法と判断されると、「従業員の復職(職場復帰)」が認められるのみならず、会社は従業員に対する「復帰するまでの間の賃金」や「慰謝料」の支払義務が発生します。

3 退職勧奨する場合

「退職勧奨」といっても、部下・従業員に解雇事由があるか否かによって、対応方法が異なります。

① 解雇事由がある場合

この場合の退職勧奨は、部下・従業員のキャリアや退職金の支給等を考えて、自主退職を勧めるものです。

解雇事由が存在する以上、まずは退職勧奨を行い、本人がそれに応じなければ解雇権を行使することになります。

もっとも、「解雇事由があるか」について、会社と従業員との間で争いになることがあります。この点は、退職勧奨を行う前に、従業員の問題行動に関する証拠資料を集め、弁護士や社会保険労務士などの専門家と十分に協議してください。

証拠資料(書面など)がないにもかかわらず、「解雇事由がある」と主張しても、そのような主張が裁判所に認められる可能性は低いといわざるを得ません。この場合、「解雇事由があること」を前提に退職勧奨したとしても、後日、裁判所で争われた場合には、「解雇事由がある」という前提自体が崩れる危険があるので、ご注意ください。

② 解雇事由が存在しない場合

会社は、部下・従業員が退職勧奨に応じない場合には、解雇権を行使することはできません。

この場合には、会社が求める能力と本人の能力との間にミスマッチがあることについて、エピソードを交えながら説明する、退職勧奨に応じてもらうための条件提示(退職金の上乗せ等)を検討する等が重要です。「エピソードを交えながら説明する」というのは、例えば、メールや業務指導書などの資料を示しながら、具体的に説明することです。

「絶対に退職させよう」として、退職勧奨を執拗に繰り返すと、違法な退職勧奨と主張される危険があります。この場合には、いったん退職勧奨をやめて、部下・従業員の対応が改まったかを見守る必要があります。

4 まとめ

部下・従業員の退職勧奨を行う際の注意点を述べました。実際に退職勧奨を進めるには、会社の実情や対象となる部下・従業員の問題点など、それぞれの事案ごとで検討すべき事情が異なります。また、退職勧奨の話を持ち出すと、部下・従業員との信頼関係にもヒビが入ります。

退職勧奨は、「最後の手段」です。問題行動がある社員には、安易に退職勧奨を行うのではなく、それ以前に、根気強く注意・指導を繰り返す必要があります。このような対応は、後日、退職勧奨(あるいは、解雇)の効力が争われた場合、会社側に有利な事情として考慮されます。

これらを念頭に置いて、実際に退職勧奨を進める際には、慎重にご対応ください。

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